menu close

2024年09月25日更新

人流ビッグデータを用いた商圏分析の事例

スマホ利用者の端末より許可を得て収集されたGPSログは、1日あたり数億レコードに及ぶビッグデータです。

人流ビッグデータと呼ばれるこのデータからは、人々の移動ルートや滞留場所、さらに居住エリアや職場など様々な情報を把握することができます。これらのデータを分析し、可視化することでマーケティングに役立つ様々な知見が得られる可能性があります。

当社では、このようなビッグデータをローデータ(オリジナルの生データ)から分析するサービスがあります。

事例:商業施設への来店者の来店ルート・立ち寄り先の分析

今回は例として、滋賀県草津市にあるショッピングモールをとりあげてみました。

モールを訪れたお客さんの居住地や、その日に移動したルートを分析することで、来店範囲(商圏)や立ち寄り先などを把握してみます。

分析の手順は以下の通りです。
①モールを訪れたIDを選択します。
②①で選択したIDすべてについて一日の行動軌跡をすべて集めてデータを作ります。
③そのデータを地図上にプロットすることで可視化します。

このようにして処理されたデータを地図上にプロットしたものが下の地図です。すべての点がこのショッピングモールを訪れた方々の軌跡になります。

ちょっとわかりにくいですが、ドットは人流の密度によって緑から赤に色を変化させています。赤でプロットされているエリアは人が滞留している場所ですね。

この地図からは以下のようなことが分かります。

  • 来店ルート:国道1号、県道18号等の主要道路経由で広いエリアから来店されていることがわかります。
  • 来店ルート上の渋滞:地図上の(a)エリアでは渋滞が発⽣していると思われます。
  • 立ち寄り場所:⻩⾊の円で囲んだエリアは来店者の滞留(⽴寄り)場所です。(a)におの浜エリアの商業集積、(b)JR駅(⼤⽯、膳所、南草津、栗東、守⼭)(c)ショッピングセンター、(d)草津駅および周辺商業集積、(e)アウトレットパーク滋賀⻯王

さらに、いろんなことが分かります。

ここでは詳細な結果は割愛いたしますが、以下のようなことが可能になります。

商圏の把握
来店者の居住地は早朝や深夜の場所から推定できますので、どこから来店しているかは把握できます(プライバシーへの配慮は十分に行いながらデータを取り扱っています)。来店者の居住地データから商圏を把握することが可能になります。

競合店の商圏
商圏の把握は、通常自店であれば顧客情報から確認できますが、競合店の商圏を把握することは容易ではありません。しかし、このようなデータを用いることによって可能になります。

GISとの比較
人流ビッグデータによって明らかになるリアルな商圏と、GIS上で計算される商圏モデルであるハフモデルの結果と比較することも面白い発見につながる場合があります。計算上はお客さんがいるはずなのに、実際には来店していないようなエリアがある場合には、何か理由があるはずです。深堀して要因を調べるのも面白いです。

そのほかにも、元々がデジタルデータなので、曜日別、天気別、来店時間帯別、経由地別など、様々な視点で定量的な分析が可能になります。このようなデータは、既存店舗の調査だけではなく、出店エリアの調査にも有効です。

最後に

オリジナルのデータには、移動速度や方向なども記録されている場合があります。また、外国人かどうかなども分かる場合がありますので、役に立つ場面もいろいろあると思います。

今回は事例紹介の一例として、商圏分析のさわりの部分だけご紹介しました。当社ではローデータを取り扱うことができるため、いろいろなご要望にお応えできます。

ご興味のあるかたは是非お問合せください。