2024年04月18日更新
AIによる広告運用時代になると・・・
AI技術の発展により、広告運用におけるAIの活用が急速に進んでいます。各広告プラットフォームやツールもAI機能を積極的に搭載しており、今後もさらに発展していくものと思われます。
広告運用へのAI導入は、①運用効率の向上、②パーフォーマンスの最適化、③広告データの高度な分析などが目的です。特に人手による分析や調整にかかる時間を削減できるのは広告運用を行う立場から考えるとあり難いと同時に、それを生業にしている人にとっては仕事が消滅するリスクもあります。
今回のコラムでは、リスティング広告のこれまでの進化を見ながら、AIによる広告運用について考えていきたいと思います。
リスティング広告の進化
検索広告はリスティング広告とも呼ばれ、検索エンジンでユーザーが検索したキーワードに連動して表示される広告です。「検索連動型広告」とも呼ばれます。ユーザーが商品やサービスを検索しているタイミングに、関連性の高い広告を表示することで、大きな効果が期待できます。
一般的にリスティング広告では、広告掲載したいキーワードに対して、入札額と広告内容を設定します。アセット(広告内容)としては、画像なども可能ですが、一般的には「見出し」と「説明文」が設定されます。
初期のリスティング広告は、「テキスト広告」と呼ばれ見出し(広告のタイトルとなる部分)、説明文(広告の詳細な内容を説明する部分)、URL(広告をクリックしたときにユーザーが遷移するページのURL)で構成されていました。
そこから、訴求力を向上させる目的で「拡張テキスト広告」と呼ばれる方式が導入され、電話番号や住所、さらに画像や動画を表示できるオプションが導入されています。
レスポンシブ検索広告
拡張テキスト広告では、広告の表現力の向上により訴求力は増しましたが、広告運用は手動で行われていました。
それに対して、予め登録しておいた複数の見出しと説明文を組み合わせることで、ユーザーの検索クエリ(ユーザーが検索したワード)やデバイスに最適な広告を自動的に配信することができるレスポンシブ検索広告が導入されています。あらかじめ設定したすべての見出しと説明文が組み合わせられる可能性があり、より多くのバリエーションの広告を表示する(される?)ことができます。
レスポンシブ検索広告は、登録できる見出しの数など細かい仕様は異なりますが、GoogleでもYahoo!でも利用できます。詳しくはそれぞれのサイトをご覧ください。
Google、Yahoo!ともに、拡張テキスト広告の編集はすでにできなくなっており、レスポンシブ広告への移行を促している状況です。近い将来レスポンシブ検索広告に一本化されるものと思われます。
レスポンシブ検索広告のメリットとしては以下のようなものが考えられます。
- より関連性の高い広告を配信できる: ユーザーの検索クエリやデバイスに最適な広告を自動的に配信することで、より高いコンバージョン率を期待できます。
- 作成と管理が簡単: 複数の見出しと説明文を入力するだけで、あとはGoogle 広告が最適な組み合わせを自動的に選んで配信します。
- 広告見出しと説明文は、ユーザーの所在地やよく訪れる場所、または関心を示した地域に合わせてカスタマイズできます。
- パフォーマンスを改善できる: 広告のパフォーマンスデータを分析することで、どの見出しや説明文が最も効果的なのかを確認できます。
広告の見出し・説明文を生成AIが提案
レスポンシブ検索広告は、登録した複数の見出しと説明文をプラットフォームがAIを利用して最適な組み合わせを行うサービスですが、見出しや説明文をAIが自動生成してくれるサービスもあります。
Googleのレスポンシブ検索広告において、自動作成アセットの設定を有効にすると、追加のアセット(広告見出しと説明文)を生成して、入力したアセットと組み合わせて使用できます。自動生成は、AIがリンク先のページの内容を学習して生成されます。自動作成アセット(Google)
Yahoo!の場合には、レスポンシブ広告の設定時に、リンク先ページの内容をもとに生成 AI がタイトル・説明文を提案するクリエイティブ作成支援機能があります。現状では1か月で30回という利用制限がかかっているようです。広告のタイトル・説明文を生成AIが提案(Yahoo!)
ここまでくると、広告主は、自社のLPやサイトと予算を決めるだけで、キーワードの選択や広告アセットの生成、広告運用まですべて自動で行われる時代がすぐにでも来そうです。
今後の広告会社の在り方
たとえば、これまでは手動でABテストを行いながら広告アセットの最適化をおこなっていましたが、レスポンシブ広告や自動生成アセットを用いた運用では、自動的に膨大なパターンの広告が生成されAIにより適切に運用されるようになります。
運用が自動化されていき、アセットの生成まで自動化される時代になると冒頭で述べたように、広告運用を生業にしている人にとっては仕事がなくなる可能性も高いです。
では、我々広告会社はなにをすべきでしょうか?一つの価値としては以下のようなものがあると考えています。
自動生成されたコンテンツとその組み合わせが膨大な数になり、それらに対するユーザーのレスポンスが含まれるログデータは、ユーザーを理解するために貴重なものになると思います。LPやサイトの改善にも役立つと思いますし、さらに広告主のマーケティング活動全体の改善に役立つ情報が含まれている可能性があります。
広告運用という仕事がなくなる日も近いかもしれませんが、自動運用のパフォーマンス分析データから知見を見出すデータマイニングのスキルや、マイニングした知見を広告主のマーケティング活動全体に対して有効な提案に昇華させることができれば、広告代理店不要論にたいして、少しは対抗できないかと考えています・・・
が、この仕事もAIがやってしまうのでしょうか?
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