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2024年09月26日更新

通信販売のエリア選択の方法

通信販売で商品を売る場合、限られた予算でどの場所を攻めるか?という問題は常に発生します。

予算が潤沢な場合には、全国全てのエリアに広告を行えばよいのですが、そうもいかない場合がほとんどで、できるだけ効果(レスポンス率)が期待できるエリアを選んで広告を実施したいと誰もが思っているはずです。

インターネットのような個人をターゲットにする方法もありますが、ここでは、折込広告のようなエリアを選んで配布できる広告を対象にエリアを選択する方法(特許6019188)を紹介します。(ネット広告でもエリアを選択する方法もありますので参考にしてください)

よくある方法

エリアマーケティング計画でよく行われる例として、「商品ターゲットはシニア層だから、シニア人口の多いエリアを中心に行おう」などのエリア属性からの「直感予測型」と、「既存客のいる場所を中心にプロモーションをしよう」という「実績型」の計画があります。

直感予測型の場合、そもそもその予測は正しいのかという問題があります。実績型の場合は、実績のないエリアにプロモーションは行われないため、もしかすると機会損失となっているかもしれません。

もしも、レスポンスとエリア特性の関連性がわかると、逆にエリア特性からレスポンスがある程度予測できる可能性があります

レスポンス率に影響を与えているエリア特性の分析

当社では、過去の顧客データやレスポンスのデータを利用した手法を提案しています。

過去のレスポンス実績のデータや顧客データから、統計的な手法をもちいて、「どのような因子(エリア特性)が、実際のレスポンス率にどのぐらい影響を及ぼしているか」を明らかにします。

これにより、今後レスポンス率が期待できるエリアの特定を行い、効果的なマーケティング戦略を策定することが可能になります。また、売れているエリア属性から商材の新たな側面を発見することもあります。

エリア毎の売上高とエリア特性の関係からの戦略づくり

下のグラフは、ある通信販売のレスポンス率を表したグラフです。一つひとつの点は、エリアを表します。

縦軸が実際のレスポンス率(実績値)、横軸はレスポンス率とエリア属性の関連性から予測したレスポンス率(予測値)です。

これを見ると、ばらつきはありますが、赤の直線のように「実績値≒予測値」という関係になっていることが分かります。

さらに良く見ると以下のようなことが分かります。
Aのエリアは、予測値は低いけど、実績は高いエリアといえます。この商品の良く売れるエリア特性とは違うけど何故かよく売れたエリアです。逆にBのエリアはこの商品の特性を考えると売れるはずなのに、売れなかったエリアということです。

エリア毎の売上高とエリア特性を併せて利用する

エリア毎のレスポンス率を参考に、例えば「今後はレスポンス率0.025以上のエリアを攻めよう」という計画の場合、Bのエリアは計画から除外されます。
Bのエリアは、エリア特性から考えると最もフィットする可能性が高いにもかかわらず、今回の実績が伴わないので除外されました。

Cのエリアはエリア属性から考えるとあまりお勧めできないエリアですが、今回の実績がよかったため攻めるエリアとなっています。
そこで、右の図のように、青い枠を少し斜めにしてみます。
すると、Bのエリアも攻める対象エリアとなりました。逆にCのエリアは除外されることになります。

この考え方は、実績だけではなく、エリア特性との相性も併せて考慮しようという方法です。
では、青枠の傾きの大きさはどのように決めたらよいのでしょうか?
赤い線からのバラつきが大きい場合、予測値はあまり信用できない(つまり傾けない)と考えます。逆にばらつきが小さい場合予測値を信頼してもよいと考え、大きく傾けます。

このようにして、実績値と予測値の組み合わせから新たな評価指標が生まれます。我々はこの指標をエリアスコアとよんでいます。


エリアスコア=実績値×(1-α)+予測値×α  (αは枠の傾きによってきまる係数です)

このエリアスコアを基にエリアの優先順位を決定します。

検証してみました

大阪府全エリアを対象とした通信販売のレスポンス結果(全部で700件のレスポンスがありました)を用いて検証してみます(過去6か月のデータから予測して、エリアスコアを算出しています)。

全エリアを対象としたので、エリアの優先順位は関係ないのですが、もしも、50%のエリアにしか広告しなかった場合にはどうなっていたか・・・のようなシミュレーションが可能です。

下のグラフはそれぞれ、実績値、予測値、エリアスコアで優先順位付けをしたときに、レスポンスがどのように累積していくかを表したものです。

ランダムにエリアを選んで広告を行うと、広告の量とレスポンスは比例するので、このグラフは直線になるはずです。マーケティングの力は、エリアに優先順位をつけてグラフをどのぐらい上に膨らませることができるかということになります。

その結果、以下のようなことがわかりました。

  • 予測値は一定のリフトアップ効果はあったが、実績値やエリアスコアには劣る。
  • 実績値とエリアスコアはほぼ同じリフトアップ効果が認められ、上位50%のエリアで65%程度のレスポンスを得ることができている。

ただし、エリアスコアと実績値を比較すると以下のようなことがわかりました。
エリアスコア上位20%のエリアで、実績値の上位20%に含まれないものは24%。エリアスコア上位50%では12%ありました。

このことは、実績上位ではないエリアに配布してもパフォーマンスが落ちないことを示しています。実績が低いエリアも広告する対象として選ぶことができるということです。

まとめ

ながながと、ややこしい話をしてきましたが、通信販売を行っている広告主の皆様には一度お話を聞いていただきたい内容です。
当社ではこの手法を特許として申請し権利化を完了しております。

もしもご興味があれば、特許の原本はこちらから参照できます。