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2024年11月29日更新

マーケティングコラム:サービストライアングル

現代のマーケティングにおいて、顧客との関係性を重視することはすべての業界に共通する成功の鍵です。その中で「サービストライアングル」というフレームワークは、企業、従業員、顧客の三者関係を整理し、価値創造の全体像を明らかにします。このコラムでは、サービストライアングルの概要を解説し、サービス業での重要性と、他業種やデジタル時代への応用について考えていきます。

サービストライアングルについて

サービストライアングルは、企業、従業員、顧客の三者の関係を軸に、価値提供のプロセスを分析するフレームワークです。

企業: 戦略を策定し、ブランドやサービスの方向性を定める(企業のマーケティング戦略を担当する部分)

従業員: 顧客と直接接し、サービスや製品の価値を体現する。(企業の顧客接点を担当する部分)

顧客: サービスや製品を受け取り、価値を実際に体験する存在。

特にサービス業ではこの三者の関係が明確に可視化され、相互作用が価値創造の鍵となります。

顧客接点(サービスエンカウンター)

従業員と顧客が接している時間に価値が発生するのがサービス業の特徴です。顧客と従業員が直接接触する場は「サービスエンカウンター」と呼ばれ顧客が企業の価値を実感する重要な場面です。サービスエンカウンターで顧客が受ける印象が、企業全体のブランドイメージに直結します。
例えば、スターバックスでは、アルバイト従業員であっても企業コンセプトの理解や店舗での接客のために数十時間の研修が行われサービスエンカウンターの質を保っています。

共創や顧客参加

サービスマーケティングでは、顧客は単なる受け手ではなく、価値を共創する存在と考えています。顧客参加型のサービス提供は、顧客体験を豊かにし、ロイヤリティを向上させます。

美容サロンで顧客がカウンセリングを通じてスタイリングを共に考えるプロセス、飲食店において顧客意見をききながら新しいメニューが誕生する等の例、観客と一体になってゲームが盛り上がる甲子園球場などは、サービスエンカウンターにおける顧客との価値創造=共創が、上手くいっている例だと言えます。

このような顧客体験を提供することは、顧客のロイヤリティが高まるだけではなく確実に企業の価値も向上していると思います。

サービス業以外での活用

サービスエンカウンターでの顧客参加や共創は、顧客の高い満足度やロイヤリティをもたらしますが、製造業やB2B企業でもその考え方が使えるか考えてみます。

モノ売りからコト売りへ

製造業やB2B企業でも、単に製品を提供するだけでなく、顧客に体験や価値を売る「コト売り」へシフトすることで、トライアングルの応用が可能です。

たとえば、自動車メーカーであれば、購入後のアフターメンテナンスサービスを工夫することによって、高いロイヤリティが得られる場合もあります。
さらにビジネスモデルを変更し、車両販売ではなくカーシェアリングやライドシェアサービスを提供し、「移動の価値」を提案する例もあります。トヨタが自らをモビリティカンパニーと宣言しているのもこのような文脈だと思います。

SNSの活用

直接的なサービスエンカウンターがない場合でも、SNSを活用して顧客とつながることができます。特に製品のファンコミュニティを構築することで、顧客との関係性を深められます。

家電メーカーがSNSで製品の使い方を紹介し、顧客からのフィードバックを収集する例では、メーカーが想定していない使い方で新たなマーケットができることもあるかもしれません。

メディアの活用

ペイドメディアによるマーケティング
広告を通じて広範な顧客層にメッセージを届けるペイドメディア(テレビCM、Web広告など)は、顧客認知を高める効果があります。

SNSによるマーケティング
SNSは顧客との直接的な対話を可能にする重要なチャネルです。先ほど家電メーカーを例に説明しましたが、サービスエンカウンターを持たない業種でも顧客と直接つながる場として活用できます。

イベンドや店舗販促等
リアルな顧客接点も依然として重要です。イベントやポップアップ店舗は、ブランド体験を顧客に直接届ける手段になります。

まとめ

サービストライアングルは、企業、従業員、顧客の三者が協力して価値を創造するフレームワークです。特にサービス業ではその重要性が顕著ですが、製造業やB2B企業、デジタル環境下でも適用可能です。三者の役割をまとめたものが下の図です。

企業が顧客との接点をどう作り、従業員をどうサポートし、メディアをどう活用するかが、このトライアングルの成功を左右します。一度この枠組みで自社のサービスについて考えてみませんか。

当社も皆様の価値創造に参加させていただければ嬉しいです。お気軽にご相談ください。