2024年08月15日更新
マーケティングコラム:マーケットインとプロダクトアウトとは?
マーケットインとプロダクトアウトは、商品開発やサービス提供において、企業がどのような視点で取り組むかを示す2つの考え方です。
マーケットインとプロダクトアウトとは
消費者に照準を合わせて、商品やサービスの開発を行うことや、プロモーションや販促の企画を行うのがマーケティングの考え方なのですが、このようなアプローチを「マーケットイン」といいます。これに対して、「プロダクトアウト」という考え方は、市場のニーズよりも、「いい商品できたのでどうですか?」というようなイメージで、新しい市場を創造するようなアプローチです。
マーケットインの考え方は、「顧客起点」、「市場調査」、「顧客の声」のような言葉がイメージされます。一方、プロダクトアウトは、「製品起点」、「技術革新」、「開発者視点」のような感じでしょうか。
究極のマーケットインは、受注型の製品開発やシステム開発です。一方新しい技術やイノベーションを投入し新しい市場を狙う形がプロダクトアウトのイメージですね。ちょっと乱暴ですが、受注生産とマーケットイン、見込み生産とプロダクトアウトが概念としては共通点が多いかもしれません。
以下にマーケットインとプロダクトアウトの特徴をまとめました。
マーケットイン | プロダクトアウト | |
---|---|---|
出発点 | 顧客のニーズ | 自社の技術やアイディア |
狙い | 顧客満足の最大化 | 新規市場開拓、新しい価値の創造 |
リスク | 市場が飽和している可能性 | 顧客に受け入れられない可能性 |
それぞれの代表的な事例
マーケットイン
マーケットインは、顧客のニーズを起点に商品開発を行うため、市場調査や顧客の声を反映した商品・サービスが多く見られます。
ロボット掃除機: 共働き世帯の増加や家事の負担軽減といったニーズに応え、自動で掃除を行うロボット掃除機が開発されました。
カスタマイズ可能な商品: ファッションやインテリアなど、顧客の好みに合わせて商品をカスタマイズできるサービスは、個性を重視する顧客のニーズに応えています。
シニア向けサービス: 高齢化社会に対応し、高齢者の健康や生活をサポートするサービスが数多く登場しています。
プロダクトアウト
プロダクトアウトは、企業の技術力やアイデアを基に、新たな市場を開拓するような商品・サービスが多く見られます。
スマートフォン: AppleのiPhoneは、タッチパネル操作やアプリストアなど、従来の携帯電話にはなかった革新的な機能を搭載し、新たな市場を創出しました。
ドローン: 空撮や配送など、様々な用途に活用できるドローンは、新たな市場を開拓しています。
VR/AR: 仮想現実や拡張現実といった技術を活用したデバイスやコンテンツは、エンターテイメントや教育分野に新たな可能性をもたらしています。
プロモーションの違い
では、マーケットインとプロダクトアウトで、プロモーションの戦略にも差があるのでしょうか?
マーケットイン
マーケットインにおけるプロモーションは、顧客のニーズや欲求を満たすことを最優先に、商品やサービスの価値を伝えることに力を入れます。そのために明確なターゲット層を設定し、その層に響く言葉やイメージを用いた、パーソナライズされたプロモーションを行います。
プロダクトアウト
一方プロダクトアウトにおけるプロモーションは商品やサービスの革新性や独自性を強調し、競合との差別化をアピールします。また、自社の技術力や開発背景をアピールすることで、製品の信頼性や、新しい価値や可能性を期待させるプロモーションになります。
メディアに対する考え方の違い
マーケットイン
マーケットインは、顧客のニーズを起点とするため、顧客との直接的なコミュニケーションや共感を促すようなメディアが効果的です。
SNS: 顧客との双方向のコミュニケーションが容易であり、リアルタイムなフィードバックを得ることができます。
ブログ: 顧客の悩みや疑問に答えるようなコンテンツを提供し、信頼関係を構築できます。
コミュニティサイト: 顧客同士が交流できる場を提供し、口コミ効果を生み出すことができます。
動画広告: ストーリーテリングを通じて、顧客の共感を呼び起こすことができます。
プロダクトアウト
プロダクトアウトは、製品の革新性や独自性をアピールするため、製品そのものを視覚的に表現したり、専門的な情報を提供できるようなメディアが効果的です。
自社ウェブサイト: 製品の詳細な情報を提供し、ブランドイメージを構築できます。
専門誌・専門サイト: 製品に関する専門的な知識や情報を提供し、業界への浸透を図ることができます。
展示会: 製品を実際に体験してもらうことで、その魅力を直接的に伝えることができます。
動画広告: 製品の特徴や機能を分かりやすく、視覚的に表現できます。
どちらかというと、マーケットイン型は、精度高くターゲットを決めてコミュニケーションをする傾向があり、プロダクトアウト型は、新しい概念の認知を広めるアプローチといえます。
ただし、近年では、マーケットインとプロダクトアウトを組み合わせたアプローチが主流になってきています。例えば、新製品発表会で、製品の革新性をアピールすると同時に、顧客インタビュー動画を公開して、顧客の視点から製品の魅力を伝えるといった手法も考えられます。
まとめ
マーケットインとプロダクトアウトについて、いろいろとお話しました。どちらのアプローチが最適かは、企業の状況や目指す方向性によって異なります。
一概に言えませんが、現代では、顧客のニーズが多様化し、競争が激化する中で、マーケットインの考え方が重視される傾向にあります。(個人的には、市場調査を無視して自分の思う商品を世の中にリリースするスティーブ・ジョブズのような起業家が多くなると面白いと思っています)
もちろん、どちらか一方だけを採用するだけではなく、臨機応変に組み合わせて企画を組み立てることが大切になります。一つの商品やサービスにも、マーケットイン、プロダクトアウト両方の要素が含まれています。
重要なのは、自社の強みを活かしながら、顧客のニーズに応えるような商品開発やプロモーションの企画を行うことです。当社では、このようなクライアント企業の戦略を共有しながら、マーケティングやプロモーション戦略を提案してまいりますので、お気軽にご相談ください。
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