2024年07月18日更新
オープンデータを用いた商圏分析
「エリアマーケティングについて考えよう」シリーズの第1回。今回のお題は「オープンデータを用いた商圏分析」です。
商圏分析とは
商圏分析とは、店舗や商業施設などの商取引の対象となるエリア(商圏)について、市場規模や競合状況、居住者や訪問者の属性・嗜好などをデータに基づいて調査・分析する手法です。
商圏分析は、新規店舗の立地選定や出店可否の判断、既存店舗の売上向上、マーケティング戦略の策定のためのターゲット顧客の絞り込みや販促活動の効率化、競合店の動向把握や差別化戦略の立案などが主な目的として考えられます。
商圏分析の手法
商圏分析も調査の一つですので、定量的な調査と定性的な調査があります。
定性的な調査としては、アンケートやインタビュー、競合店やエリアの観察などのフィールド調査があります。
一方定量的な調査はデータを用いて文字通り定量的に行われます。オープンデータを用いたものや、自社の顧客データを用いたもの、調査会社のパネルデータを購入する方法など用いられるデータも様々です。携帯電話の位置情報による人流データをもちいることもありますし、最近では、ジオターゲティング広告のレスポンスデータなども利用されることがあります。
今回は、比較的安価に実現できるオープンデータを用いた定量分析についてお話します。
オープンデータを用いた定量分析
商圏分析のなかでオープンデータを用いた定量分析は特に新しい方法ではありませんが、近年注目を集めている手法です。統計データや公表資料などのオープンデータを活用することで、ローコストで手軽に実施できることが一つのメリットですし、データを使うことが一般的になってきたことが背景なのかもしれません。
用いられるデータは商圏分析の目的によって様々ですが、最も一般的なものとしては 人口統計データです。デモグラフィックデータともよばれるもので、主に国勢調査データなどが用いられます。国勢調査データは意外と詳細な情報が含まれていて、使い方によってはかなり深い分析も可能です。このあたりはまた別の機会にお話します。
定量的な分析手法
年齢別の人口構成や、世帯種類別の構成、住宅の種類などデータを確認して商圏の雰囲気を理解するだけでも一定のメリットはありますが、自社の売上データや顧客分布データと比較しながら分析するといろいろな発見ができる可能性があります。以下に代表的な手法を紹介します。
回帰分析
地域の特性とビジネスのパフォーマンス(売上高、来客数など)との関係を明らかにするために使用します。例えば、人口密度や平均所得が店舗の売上にどのように影響するかを分析します。
精度の高い回帰分析ができたら、その結果を用いて予測を行うことができます。先ほどの例で話をすると、人口密度や平均所得がわかれば売上が推定できるということになります。
クラスター分析
類似した特徴を持つ地域をグループ化するために使用します。これにより、ターゲットとする商圏を明確にし、マーケティング戦略を最適化できます。
GIS(地理情報システム)分析
GISは地理情報を視覚化し、商圏の範囲や顧客の分布を地図上に表現します。可視化するだけでも、商圏の視覚的な理解が深まり、具体的なエリアでの戦略立案が容易になります。また距離や到達時間など地理的要因を考慮した分析も可能になります。
まとめ
商圏分析を行うことで、以下のメリットが得られます。
- 売上予測の精度向上: 市場規模や顧客属性を把握することで、より精度の高い売上予測が可能になります
- リスクの低減: 立地選定の失敗や競合店との競争激化などのリスクを低減できる
- 効率的なマーケティング活動: ターゲット顧客に合わせた効果的なマーケティング活動が可能になる
- 顧客満足度の向上: 顧客ニーズを把握した商品やサービスを提供することで、顧客満足度を向上できる
これらの効果を高めるための分析手法には高度なものもありますが、まずは、比較的安価に行うことができるオープンデータを用いた定量的な分析から始めてはいかがでしょうか。
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