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2026年10月30日更新

その広告、本当に“狙った人”に届いてる? ~Web広告の次に考えたい「確定ID」という選択肢~

リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告。Web広告では、年齢や地域、興味・関心などを設定しながら、「届けたい人」に近づこうとしてきました。でも、ふと考えてみると、その“人”を私たちは何を根拠に「狙った人」だと判断しているのでしょうか。今回は、いつものWeb広告を少し離れて、「確定IDから人を探す」という広告の選択肢について考えてみます。

「大阪の40代、子育て世帯に届けたい」。さて、どうする?

例えば、新しい教育サービスの広告を考えているとします。

届けたいのは、「大阪に住む40代くらいの子育て世帯」。

Web広告を実施したことがある人なら、Google広告やMeta広告などを思い浮かべるかもしれません。地域を大阪に設定して、年代を絞り、子育てや教育との親和性がありそうなユーザーを狙う。検索広告なら、教育サービスに関連するキーワードを検索している人へ広告を出す方法もあります。

もちろん、どれも有力な選択肢です。

Google広告でも、年齢・性別などのデモグラフィック情報や、興味・関心、購買意向、自社サイトへの訪問履歴など、さまざまなオーディエンス情報を利用できます。

ただ、ここで少しだけ視点を変えてみます。

「大阪に住む40代の子育て世帯」という人を、広告配信システムの中で探すのではなく、すでに登録されている会員IDの中から探すとしたら?

同じ「ターゲティング」でも、少し違う世界が見えてきます。

「朝日ID」って、新聞購読者のことでしょ?

そこで登場するのが、「朝日ID」です。

名前だけを聞くと、「朝日新聞を購読している人のIDかな」と思うかもしれません。

実際には、朝日IDは朝日新聞グループが提供するさまざまなサービスで使われている共通IDです。新聞購読者だけでなく、デジタルサービスの利用者、イベント申込者、キャンペーン参加者なども含まれています。

ここでポイントになるのは、「誰か分からないアクセス」ではなく、会員IDを起点に人を捉えられることです。

2026年7月時点の資料では、その規模は658万ID。

年齢構成も、いわゆる「新聞購読者」のイメージとは少し違います。40~50代を中心に幅広い年代が利用しており、朝日新聞本紙の購読層と比較すると、朝日ID会員の方がやや若いというデータもあります。

さらに面白いのが、育児・教育関連のサービスとの接点です。朝日新聞社の公表資料では、子育て世代のIDは45万以上。未就学児から大学生まで、子どもの学年別にターゲティングできるとされています。

ほかにも、回答者の約4人に1人が世帯年収1,000万円以上、50代では部長クラス以上が20%を超えるなど、資産形成、不動産、教育、BtoBといったテーマでも検討しやすいプロフィールがあります。

「新聞社が持つ読者リスト」というより、「さまざまな接点から蓄積されてきた会員ID」と考えた方が、実態に近そうです。

年齢や地域だけではない。「何をした人か」まで見る

では、658万のIDから、どうやって「届けたい人」を探すのでしょうか。

朝日IDで活用されているデータは、大きく3つに分けられます。

  • 属性データ:性別、年代、世帯年収、職業、役職など
  • 行動データ:Webメディアでの記事閲読など
  • 回答データ:アンケート、イベントやキャンペーン応募時などの回答

「大阪」「40代」といったプロフィールだけではなく、「どんな記事を読んだのか」「どんなイベントに申し込んだのか」といった実際の行動も、セグメントを考える材料になります。

例えば、朝日新聞社では「相続」という言葉を含むイベントへの申込履歴や、特定メディアの記事閲読などを用いたターゲティング例を紹介しています。

さらに、あるイベントに参加した人や広告をクリックした人を基準にして、「その人たちと特徴が似ている会員」を機械学習で探す方法もあります。

つまり、最初から条件をすべて人間が決めるだけではありません。

「こんな人が反応した」という結果から、次に届ける人を探していく。

ちなみに朝日新聞社では、こうしたデータ活用を「A-TANK」というデータソリューションとして展開しています。A-TANKでは、朝日IDの会員データに加えて、グループメディアでの行動履歴、アンケート、イベント応募などのデータを活用し、ターゲティングやインサイト分析、広告効果の検証などにつなげています。

つまり、朝日IDメール広告の面白さは「会員リストにメールを送れること」だけではなく、その背景に、会員や読者をより深く理解しようとするデータ活用の仕組みがあることです。

Web広告を運用している人には、少し馴染みのある考え方かもしれません。

それって、DMPと何が違う?

ここまで読んで、「それってDMPを使った広告配信と似ているのでは?」と思った方もいるかもしれません。

たしかに、考え方が重なる部分はあります。

例えば、マイクロアドの「UNIVERSE」のようなデータプラットフォームでは、企業が持つCRMデータとWeb行動データ、外部データなどを統合し、顧客分析や広告配信、CRM施策などに活用できます。

ですから、「DMPは推定データ、朝日IDは実データ」のように単純に分けることはできません。DMP側でも企業の会員IDや購買データなどの1st Party Dataを扱うことができます。

違いを考えるなら、むしろ「何を利用するサービスなのか」を見ると分かりやすそうです。

DMPは、複数のデータを集め、統合・分析し、さまざまなマーケティング施策へ活用するための「データ基盤」です。

一方、今回紹介している朝日IDメール広告は、朝日新聞グループがすでに保有する会員IDとそのデータを使い、条件に合う会員を抽出して広告を届ける「広告メニュー」です。

つまり、同じものを比較しているわけではありません。

DMPを自社で構築・活用するほどではない。でも、「もう少し具体的な人に届けられないか」と感じている。

そんな場面では、媒体社が持つ1st Party Dataそのものを広告に利用するという考え方も、選択肢の一つになりそうです。

そして、届け方は意外とシンプル。「メール」です

ここまで、658万ID、行動データ、回答データ、機械学習……と書いてきました。

かなり高度な広告配信システムを想像した方もいるかもしれません。

ところが、今回紹介する広告メニューで実際にユーザーへ届ける方法は、意外とシンプルです。

メールです。

「なんだ、メール広告か」と思ったでしょうか。

でも、普通のメール広告と少し見方を変えてみると面白くなります。

重要なのは、「何通送れるか」から始めるのではなく、先に「誰に送るか」をデータから考えられること。

メールを大量に送るのではなく、データで探して、メールで届ける。

朝日IDメール広告では、あらかじめ用意された条件を利用する「プリセットセグメント」と、目的に応じて条件を設計する「カスタムセグメント」の2種類があります。

さらに、テキストメールだけでなくHTMLメールも選択できます。HTMLの場合は、アイキャッチ画像、コピー、説明文、CTAボタンなどを組み合わせたクリエイティブを制作できます。

Webページを用意していないケースでも、朝日新聞社の定型フォーマットによるHTMLメール制作が可能です。

費用から見える広告の考え方

新しい広告媒体を見つけたとき、結局いちばん気になるのはここかもしれません。

「面白そう。でも、いくらなの?」

2026年7月版の媒体資料では、朝日IDメール広告の基本配信料金は20円/通、最低出稿金額は50万円です。最低出稿金額で実施する場合の料金イメージは、次のようになります。

  • プリセットセグメント+テキスト:55万円
  • プリセットセグメント+HTML:65万円~
  • カスタムセグメント+テキスト:65万円~
  • カスタムセグメント+HTML:75万円~

最低配信金額50万円は、20円×25,000通の計算です。そこにプリセットセグメントなら設定料5万円、カスタムセグメントなら15万円~。HTMLの場合は制作費10万円~が加わります。

もちろん、実際に抽出できる人数は条件によって変わります。

ここでWeb広告に慣れていると、つい「20円/通」をCPMなどと比較したくなります。

ただ、ディスプレイ広告の25,000インプレッションと、「一定の条件に合致した会員へメールを直接届けること」は、そもそも同じものではありません。

だから単純に「どちらが安い」とは言えません。

広告費50万円で、「何回表示できるか」を比べるのか。それとも、「どんな人との接点をつくれるか」を比べるのか。

費用を見るときにも、広告の見方そのものが少し変わってきます。

「たくさん送る」より、「送らない人を見つける」

では、ターゲットを細かくすることで、本当に結果は変わるのでしょうか。

朝日新聞社が紹介している不動産セミナーの事例があります。

最初の配信では、「エリア×年齢」という比較的シンプルな条件で約40万通を配信し、コンバージョンは30件程度でした。

翌年は、過去にメールをクリックしたユーザーをもとに機械学習を行い、「関心が高そうな類似会員」を抽出。配信数は約20万通まで絞りました。

結果は、クリック率が0.05%から0.40%へ。コンバージョンは300件弱となり、約8.6倍に増加したと紹介されています。

ここで興味深いのは、「たくさん配信したから成果が増えた」のではないことです。

配信数は約半分。それでも成果は大きく増えました。

ターゲティングというと、「狙いたい人を細かく指定する技術」のように考えがちです。

でも、別の見方もできそうです。

「届けなくてもいい人を減らす」ことも、ターゲティングの価値なのではないでしょうか。

もちろん、これは一つの事例であり、同じ方法を使えば常に同じ結果になるわけではありません。

それでも、広告の成果を考えるときに、「もっと配信量を増やす」以外の方向があることは示してくれています。

広告の選択肢は、ひとつではない

ここまで読むと、「ではリスティング広告やディスプレイ広告より朝日IDの方がいいのか」と思うかもしれませんが、そういう話ではありません。

今まさに検索している人を捉えるなら、リスティング広告はとても強い媒体です。広く認知を取りたいなら、ディスプレイ広告やSNS広告が向いているケースもあります。自社サイトを訪れた人へ再びアプローチしたいなら、各広告プラットフォームの自社データ活用も考えられます。

朝日IDも、すべての商品やサービスに適しているわけではありません。

むしろ考えてみたいのは、今まで媒体を選ぶときに、私たちが何から考えていたかです。

「Googleに出すか」「Instagramに出すか」「ディスプレイにするか」。

そんなふうに広告面から考えるだけでなく、先に「どんな人を探したいのか」を決め、その人を見つけられるデータを探す。

そうすると、これまで候補に入っていなかった媒体が見えてくることがあります。

あなたなら、658万人から「誰」を探しますか?

例えば、こんな人を探したいとします。

  • 子どもの進学や習い事を考えている保護者
  • 資産形成や相続に関心を持つ層
  • 企業で意思決定に関わる役職者
  • 特定のテーマの記事を継続的に読んでいる人
  • 過去にあるイベントへ申し込んだ人と似た特徴を持つ人

実際にどこまで条件を組み合わせられるのか、何人の会員が該当するのかは、テーマや抽出条件によって変わります。

だからこそ、「朝日IDメール広告を使おう」と決めてから考える必要はありません。

「こんな人に届けたいんだけど、朝日IDの中にどれくらいいる?」

そんなところから考えてみてもよさそうです。

リスティング、ディスプレイ、SNS。そのどれかを選ぶ前に、あるいは今のWeb広告にもう一つ加える選択肢として。

広告を「どこに出すか」からではなく、「誰を探したいか」から考えてみる。

次に広告を考えるとき、管理画面を開く前に一度だけ、その順番を逆にしてみると、今までとは少し違うプランが見えてくるかもしれません。

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